白狐が道を教えた細谷の冠稲荷
どんな伝承か
源義経が藤原秀衡を頼り、京から奥州平泉へ下る途中、細谷の稲荷社に立ち寄って数日のあいだ旅の疲れをいやしたという。ある夜、白い狐が姿を見せ、奥州へ向かう道筋を義経に教えた。翌朝、土地の者に尋ねると、この社は八幡太郎義家の三男義国が創めたものだと分かった。遠い祖先の加護によるお告げだったかと喜んだ義経は、冠の中に納めて持ち歩いていた京都伏見稲荷の神霊をこの社に納め、ふたたび奥州を目指したという。細谷の稲荷を冠稲荷と呼ぶのは、この話にちなむと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。