血を流した永福寺の身代わり観音
どんな伝承か
昔、八坂にある曹洞宗永福寺の八代目の和尚が若い頃、富山での葬式の帰りに倶利伽羅峠にさしかかると、二人の山賊が現れて脅した。相手にせず通り過ぎると追ってきて、左肩を切りつけ、さらに両足を切り払った。それでも和尚は平気で歩いて行ったので、山賊は驚いて悪事を詫びた。ちょうどその頃、永福寺の本堂では弟子たちが読経していたが、観音を納めた庫裏の扉がひとりでに開いてまた閉じた。弟子が見ると観音は真っ赤な血に染まっている。帰った和尚が確かめると、観音の左肩と両足から血がたらたらと流れていた。以来この観音は身代わり観音と呼ばれ、村人に崇められたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。