切ってはならぬ秀の木と地滑り
どんな伝承か
八百比丘尼が縄又を去るとき、この木だけは切るな、切れば災難が起きると言い残していった木があった。昔から秀の木と呼ばれ、神が授けた木だといわれる。もっとも村人のあいだには、大枝が広がって田畑の耕作ができない、風が吹けば地滑りの恐れがあるという声もあった。木こりが切っても、翌日には元通りに戻ってしまう。そこである知恵者が、切り倒したらすべて燃やしてしまえと言い、切った木を残らず焼いた。それからというもの、縄又の地滑りはひどくなり、今日まで続いているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。