地に挿した杉箸が根づいた逆さ杉
どんな伝承か
田んぼの中に、県の天然記念物に指定された逆さ杉がそびえている。倒杉とも呼ばれ、樹齢はおよそ九百年、高さ十二メートル、幹回り七メートルの大木で、土地の人に安らぎを与えるとともに畏れられてもいるという。古老によれば、その姿は臥した竜が天へ昇ろうとしているところなのだという。枝は下を向いて伸び、地面へ垂れ下がっている。昔、若狭の八百比丘尼が真言宗高照寺の薬師に祈願し、昼食に使った杉箸を地に挿して百日のあいだ千万遍の称名を唱えたところ、病が癒え、箸は根づいて枝葉を出したと伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。