誓願寺に伝わる浄瑠璃姫の最期
どんな伝承か
三州碧海郡矢作宿の十王堂の起こりは、昔この地にあった池に慶念という者が身を投げたことによるという。その霊が夜ごと現れて人を悩ませたので、池を埋めて恵心僧都が千体の地蔵を刻み、一宇を建てて慶念山誓願寺と号した。矢作宿の兼高長者は子のないことを嘆いて鳳来寺の峰薬師に参籠し、夢告によって授かった娘を浄瑠璃と名づける。承安四年、奥州へ下る九郎判官義経が長者の館に泊まって姫と契り、薄墨という笛を形見に残して東へ去った。姫は思いに堪えかね、寿永二年三月十二日に菅生川へ身を沈めたという。その所を浄瑠璃渕と呼ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。