段戸で聞いた木倒しの音と消える猿
どんな伝承か
北設楽郡稲武町小田木の加美屋の爺さんは、若い頃は猟の名人で、兄弟三人そろってよく段戸へ行ったという。ある日、友達と二人で段戸へ行き、小春日和で暖かいので疲れて昼寝をしていると、下の方で「ピュー、メリメリメリ、ドシャーン」と大木を伐り倒すような音がした。天狗の悪戯だと思って帰途につくと、向かいの林に猿がたくさんいて樹の枝に鈴なりに下がっている。そこまで行くと何もなく、また向こうの林に猿が見える。気味が悪くなって家に帰った。後日、木を伐る音がした場所へも行ってみたが、何事もなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。