焼き石を飲まされた西浦の山婆
どんな伝承か
静岡県磐田郡水窪町(現浜松市)西浦のシナゴという家に年若い娘がいて、藤をうんで糸にしていた。すると毎晩、どこからともなく山婆がやって来て手伝い、できた藤を束にして「今夜も一つチャンコロリン」と言っては二階に放り上げ、娘とすっかり仲良しになった。だが後で見ると、二階には糸も何もない。家の人たちは、山婆が娘を連れて行って食べるに違いないと考え、いつも出す茶玉に似た川石を焼いて山婆の手にのせた。山婆はそれを一呑みにし、熱さに狂い回って冷たいものを求めたが、家人が油を飲ませたのでなおさら苦しみ、ついに大きな音を立てて腹が破裂して死んだ。その家は今も残るが、その罰でいくら働いても貧乏が続くという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。