人魚を食べて八百年生きた比丘尼
どんな伝承か
円福寺の裏山の洞穴のそばに、八百比丘尼の木像があったという。このあたりが海辺だったころ、漁師が沖で人魚のような魚を捕り、食べてはいけないと捨てようとしたところ、通りがかりの白い着物の人に、庚申の祭に供えて祈れば厄除けになると教えられた。祭の晩、乳母と遊んでいた娘が供物の肉を一切れ口にする。娘は美しく育ったまま年を取らず、ついに八百歳になった。山や川の形も変わり、知る人も死に絶えて寂しさに耐えかね、髪を下ろして横穴へ入ったという。しばらくは念仏が聞こえたが、やがて絶えた。洞窟は若狭まで通じているとも伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。