晦日に預けられた棺桶の永楽宝
どんな伝承か
永楽屋の話を母親から聞いた。永楽屋は真面目な商人だったという。晦日の晩、白い装束の者が二人、棺桶を担いで来て、しばらくでいいから預かってくれと言って帰ってしまった。主人は仕方なく預かり、そのうち取りに来るだろうと待っていたが、正月が過ぎても誰も来ない。棺桶のことで気味も悪く、やり場もないので蓋を開けてみたところ、永楽宝という金がぎっしり詰まっていた。預けた人も分からずじまいで、そのまま家のものとなり、永楽屋はずんずん栄えて、永楽宝が入っていたことから屋号を永楽屋とし、今もずっと栄えているという。
原典より
永楽屋さんのお話を、この母親から聞いたんです。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。