清盛に迫られ自刃した名月姫
どんな伝承か
名月姫は摂州御園荘の領主、三松刑部左衛門尉国春の息女で、成長して能勢地方の豪族能勢氏の一門である柏原城主の蔵人家包に嫁した。その艶麗なのを聞いた平清盛は使者を送り、側女として差し出すよう命じた。権勢の前には屈従するほかなく、父国春と夫家包に打ち下されようとする鉄槌を避けるためには、その貞操は軽く売り物にされねばならなかった。姫はついに都へ上る途中、自ら手に握りしめた刃の下に伏して、貞節を守り通したという。一説には、まだ家包に嫁がぬ許婚の時代のことで、清盛の命を肯んじなかった国春らに激怒した清盛が兵を送って御園荘と柏原の館を討たせ、逃れた姫は頼るべき家包も滅びていたため自刃したという。
原典より
名月姫は摂州国御園荘領主三松刑部左衛門尉国春の息女で、長じて能勢地方の豪族能勢民の一門で、柏原城主蔵人家包に嫁したが、彼女の艶麗なるを聞いた平清盛は使者を送って側女に差出すべく命じた。—— 日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。