妙香寺の念持仏と岸岡家の掛軸
どんな伝承か
下芳野の妙香寺には、常盤御前の念持仏だったと伝わる仏像が納められている。岸岡家は台風の被害を受けて昭和三十六年に現在地へ移り、屋敷内には常盤神社の分霊を祀る。同家には、牛若丸が母に抱かれ二人の兄が雪の中を歩む姿を描いた掛軸も伝わる。松井には常盤の腰かけ石があり、奈良市の大柳生や水間の御影・柳生にも同じ伝説が残ることから、吉野から松山・芳野・大柳生・田原へと落ちのびた足取りがたどれる。『義経記』は永暦元年正月十七日の暁に常盤が三子を連れて宇陀郡岸の岡を頼ったと記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。