日の出を待たせたしばし寺
どんな伝承か
五条市の丹原町には、しばし寺と呼ばれる寺がある。弘法大師がこの寺を建てたとき、日の出までに仕上げねばならない約束であった。ところが夜が明けかかっても普請は終わらず、東の空から日がのぼりはじめた。大師はかたわらの檜の材を手に取り、「しばしまて」と唱えながら立木に投げつけたという。寺の名はこの言葉から起こったと伝える。境内には椿と檜が一つになった木があり、大師の投げた檜が引っかかったものだといわれる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。