猪笹王の亡霊が化した一本足の鬼
どんな伝承か
吉野郡上北山村と川上村の境にある伯母峰で、猟師射馬兵庫が斑犬を連れて狩りをしていたとき、背に熊笹の生えた大猪を鉄砲で撃ち倒した。後日、紀州湯の峰温泉に足を傷めた野武士が現れ、自分は兵庫に討たれた猪笹王の亡霊だとして鉄砲と斑犬を望んだが叶わず、一本足の鬼となって旅人を襲うようになった。丹誠上人が地蔵尊を勧請し経堂塚に経文を埋めて封じたが、毎年十二月二十日の「果ての二十日」だけは鬼の自由になるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。