小松家に伝わる五百瀬の維盛の墓
どんな伝承か
神納川の西北岸にある五百瀬は、いくさに敗れた平維盛がこの地に入り、姓を小松と改めて住んだところだと伝える。今も子孫の小松秀盛氏が暮らし、元屋敷は政所と呼ばれて神納川の庄屋を務めた。家の前には二、三百年を経た四足門が立つ。維盛の墓は政所の裏の竹藪にあり、小さな祠が祀られているが、そのすぐ後ろの朽木の空洞こそ本物だという。小松家は秀盛氏で六十五代を数え、先祖代々の名には盛の字を含むものが多い。家には維盛の名刀と甲冑が伝わるといい、この刀を四足門の前で振ると、川向こうで遊ぶ鹿が真っ二つに切れたという話も残る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。