三村が争った光を放つ観音
どんな伝承か
岡山県小田郡矢掛町では、小林・川面・東水砂の三村境界近くに御光を放つ観音様が祀られていたと伝わる。ところが笠岡や鞆の浦の漁師たちから、その観音の眼光がまぶしくて沖へ出て漁ができないという訴えが起こり、どの村へ観音を移すかで村同士が対立し、ついには江戸まで裁判に持ち込まれた。奉行が村の代表に観音の名を尋ねたところ、川面と東水砂の代表は単に「観音様」と答えたのに対し、小林の代表は「三目八手不空羂索観音」と正しい名を答えたため、小林側が勝訴したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。