渡川の雄淵から竜宮へ入った元久
どんな伝承か
『後太平記』の「三浦介元久竜宮之行事付神軍之事」が伝える。嘉吉元年二月半ば、長門国の渡川というところで鷹狩りをしていた元久は、日ごろ愛する鷹が逸れて渡川の雄淵に飛び入り、水面で羽ばたいて呼んでも戻らないので、水練に達者な元久はそのまま深い淵へ入った。すると水が左右に裂け分かれ、鷹の走る後を追って行くと、水底に金殿楼閣が軒を並べ、廻廊と高欄の連なる世界が現れた。門の外には五色の大竜が数千も角を並べていたという。元久は鰐馬の背に乗って一瞬で元の淵へ浮かび上がり、宿所へ帰ったが、一日と思ったのは百日で、家では僧を集めて仏事の最中であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。