三百三十三足の草鞋で勝った後山
どんな伝承か
岡山県勝田郡奈義町に伝わる。那岐山にまだ名がなかったころ、あたりを見回して自分より高い山がないので、作州一の高い山だと得意になっていた。ある日、東の方に同じような山が威張って立っているので尋ねると、作州一の後山だという。二つの山は作州一は自分だと言い争い、決着がつかないので頂上に樋を掛けて水を流し、背くらべをした。水は後山の方へ流れ、那岐山は得意になる。後山はもう一度と言い、夜のうちに草鞋を三百三十三足こしらえて頭の上に積み重ねた。すると水は那岐山の方へ流れて後山が勝ち、那岐山は泣き出して周りの山から泣きの山と言われ、なぎのせんと呼ばれるようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。