山影と退けられた船山の帆影
どんな伝承か
『備中誌』窪屋郡巻によれば、船山は福山の峰から北へ延び出た端の名だという。三和村の内に坂浦という所があり、昔は海で船が多く破損した所だと伝えるが、同書はこの説を誤りとし、この辺りは古く国府に近く船の来る所ではないと退けている。山には二十畳敷ほどもある八畳岩があり、五月の田植えから三番草を取るころ、朝四つ時に田の面を見ると、水中に霧のように船の行き交う帆影が映るという。同書はこれを山影がそう見えるだけで怪しむに足りないとし、俗説では海だったころ破船した亡霊のしわざだと言う、と記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。