鉄を忌む弁慶森の産湯の井
どんな伝承か
土地の者の屋敷の中に水神がある。松を神木とし、罔象女命を祀り、祭日は九月二十八日である。古老はこの水神を弁慶森と呼ぶと伝える。森の中には小さな井があって、今に至るまで水が絶えたことがない。西塔武蔵坊弁慶が生まれたとき、この水を産湯に用いたのだという。杵田明神は弁慶の産神の社であるため、その願書が今も社内に納められている。願書には、鉄を食べて生まれた子であるから常の子ではなく、自ら手で井を掘って産湯としたので、この井に鉄を入れてはならないと記されている。今も鉄の道具を入れると消え失せるといい、この水を飲めば瘧が落ちるとも伝える。傍らには弁慶の母の墓がある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第11巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全56話(鳥取・島根=山陰)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。