津井の池の主に嫁いだ庄屋の娘加代
どんな伝承か
日照りが続いて雨が降らず、困った村人は庄屋の家に集まり、津井の池の水神に願をかけることにした。雄池と雌池のそばの水神に籠り、百度参りをして祈ると、その晩、庄屋の枕辺に立派な若衆が現れ、願いを叶えるかわりに十日のうちに年頃の娘を嫁に差し出せと言う。翌日は大雨となったが、嫁に行くという娘は一人もいない。やがて庄屋の一人娘で十七になる加代が、自ら池の主の嫁に行くと言い出した。一月の後に戻った加代は、夜明けまで部屋をのぞくなと言い置いて休んだが、いびきを怪しんだ両親が襖を開けると、娘は大蛇となって七巻半のとぐろの上に首を乗せていた。翌朝、娘の姿はなく鏡だけが残っていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。