穴のあいた核を結ぶ来待の梅
どんな伝承か
宍道町来待に伝わる菅公出生の話。菅原道真の父是善が出雲の国司であったころ、各地を巡視するうち、しばらく来待の狩野家に逗留し、その家の春才姫を寵愛して姫は身ごもった。任期を終えて帰京する際、是善は男子が生まれたら京都醍醐の花園に捨て置けと言い残して去る。姫は男子を産み、三歳まで育てたのち、約束どおり京へ上って花園に置いて帰った。それでも我が子が忘れられず、公が幼い日に穴を穿って紐を通した梅の核を形見に植え、私の志が通じるなら芽を出しなさいと念じたところ、その核から芽が生え、育って実を結んだ。実の核には不思議にも穴があいていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。