泣き死んだ遊女と傾城岩
どんな伝承か
江戸時代のことと伝える。島根県仁多郡横田町(現・奥出雲町)下持田の家の次男が大阪へ出て大工として働くうち、高尾女郎と呼ばれる遊女と深い仲になり、末は夫婦になろうと固く約束した。ところが事情ができて大工はひとり大谷へ帰り、そこで働いていた。忘れられない女は男を追って下持田までたどり着いたが、長旅にやつれた姿だったため、家の者は男が留守なのをさいわいに、もう生きてはいないと偽り、外へ連れ出してある墓を次男の墓だと教えて帰した。それを聞いた女は悲しさのあまりその場に倒れ、泣き死んでしまった。後から顛末を聞いた次男は驚き悲しみ、丁重に葬ったという。それが今の傾城岩だと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。