池ノ上の美女の告げと大蛇
どんな伝承か
弘岡上ノ村の字池ノ上に鎮座する無格社の厳島神社は市杵島姫命を祀る。古老の口碑によれば、昔ここに大きな池があった。ある日、農夫が池のそばで草刈りを休んでいて、誤って火打ちを池に落とした。そこへ忽然と美女が現れ、近いうちに災難があるから用心せよと告げて消えた。後日、農夫が池のそばに行くと、大蛇が柳の枝から頭を垂れて呑もうとする勢いだったが、農夫は先日の美女の告げを思い出して拝むと、蛇はしばらくして消えた。これにより池ノ上北山の人々が崇敬して社を建て、弁才天と称してきたが、明治三年に厳島神社と改称したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。