動かぬ牛車と浦島地蔵
どんな伝承か
新町の停留場で電車を降り、交番のわきから京浜電車の線路を越えたあたりが浦島丘であった。そこに隆盛館という湯屋があり、その裏手の家の門口の庭に、さほど大きくない石の地蔵が立っていた。これが浦島地蔵と呼ばれるもので、もとは浦島寺の持ち物だったが、明治のはじめの火事で寺が焼けて廃寺となった。遺物を慶運寺へ移そうとして牛車に積んだところ、牛はどうしても動かず荒れ狂った。地蔵は他所へ行くのを嫌うのだろうと、もとの場所へ戻して安置したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。