潮の干満を告げる成仏寺の浪石
どんな伝承か
成仏寺の庭に浪石という奇石がある。いつから庭にあるのか住職さえ知らないが、形が波に似ているのでその名がついたという。不思議なことにこの石は潮の干満を教えてくれる。潮がさしはじめるころには何となく湿りを帯び、満潮になると夜霧が下りたように潤い、引き潮になると拭ったように乾く。撫でてみれば海の潮の時刻が自然に分かるのだという。千貫石とも呼ばれ、さほど大きくないのに重くて動かない。浦島太郎が涙をこぼした涙石が訛った名だとも伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。