日蓮の杖から生えた遠照寺の杖桜
どんな伝承か
北巨摩郡須玉町の穴平、いまの北杜市須玉町穴平に、日蓮宗の名刹遠照寺がある。客殿の前には樹齢数百年という枝垂桜が立ち、土地では杖桜と呼んでいる。むかし日蓮上人が巡錫の途中この地で休んだとき、持っていた桜の木の杖を地中へさして置いた。杖はやがて芽を生じ、育って立派な桜になったという。里の人々は上人の徳を慕うあまり、この桜のかたわらに寺を建てた。それが遠照寺で、総本山久遠寺の遠の字をとって名づけられたと伝える。杖桜はいまも勢いよく枝を伸ばし、毎年みごとに花を咲かせている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。