手児奈が通った真間の井の片葉の芦
どんな伝承か
真間に住んでいた手児奈という若く清らかな娘のことは、すでに万葉集に語り伝えとして詠まれている。いま亀井院にある真間の井は、手児奈がたびたび水を汲みに通った井戸だという。そのあたりの芦の葉は、どれも片方に寄っていた。手児奈が足しげく水を汲みに来たので袖に触れた葉が大きくならなかったのだとも、芦の葉が娘の美しさに引かれてかたよったのだとも伝えられていたが、昭和十三年の大雨による崖崩れで埋もれてしまった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。