長者原の饅頭石と七人坊主
どんな伝承か
茅ヶ岳の西麓一帯に長者原と呼ぶ所がある。昔ここに長者の一族が栄えていたが、春の浅いころ、山伏姿の道士が残雪を踏んで訪れ、一夜の宿を乞うたのを長者は断り、並べてあった饅頭も石だと偽って与えなかった。翌朝、饅頭はことごとく石に変わっていた。やがて絶えたことのない井戸水も涸れ、不幸が続いて一族はこの地に住めなくなった。生き残った姫は牡牛に乗り従者七人を連れて東へ向かったが、江草村の机山で石となり、主を失った牛も離れた所で石となった。従者たちも次々に倒れ、七人坊主として石祠に祀られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。