ぼた餅を入口に挿すおかべの入道
どんな伝承か
山梨県北巨摩郡須玉町(現・北杜市須玉町)では、十二月二十七日をおかべの入道といい、ぼた餅を枝にさして入口にさしておいた。鬼がくるのでするのだという。一晩中、籠を庭に出しておく家もあった。おかべの入道はカゾノ入道・カベ入道などとも呼ばれ、著者はカベ(壁)ないしカド(門)のことかと推し、いずれにせよ家の周囲まで来る厄神だとみる。実体がはっきりしないために、ぼた餅を入口にさしておくこと自体がおかべの入道と呼ばれるようになったのだろうとも述べている。
原典より
十二月二十七日にはおかべの入道といい、ぼた餅を枝にさして入口にさしておく。—— 厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に名著出版から刊行した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など人に災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と国学院大学民俗学研究会の採訪記録などの事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、年神とミタマの飯、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、うち四章は書き下ろしである。