鎌を結ぶ笊のヤクジンヨケ
どんな伝承か
二月八日の行事をヤクジンヨケと呼ぶ土地は、岩手県南部、山形県東村山郡の天童町あたり、新潟県東蒲原郡、東京の西郊などに及び、いずれも籠の類を外へ出しておく点が共通する。関東ではその目の数で一つ目の怪に睨み勝つと説くが、新潟ではトオシという笊に鎌を結びつけ、かまわずにとおれ、の語呂だと言い、砥石まで添える家もあった。著者はこれを、厄神の通過を語る事例として重くみている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に名著出版から刊行した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など人に災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と国学院大学民俗学研究会の採訪記録などの事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、年神とミタマの飯、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、うち四章は書き下ろしである。