石棺が現れた大臣塚の松
どんな伝承か
大分市元町には百合若大臣の墓と伝わる大臣塚がある。『豊府聞書』によれば、寛永十二年七月二十五日、大風で塚の上の巨松が折れた。府内藩主の日根野吉明は、のちの世の人が由緒ある塚を崩すことを恐れ、翌年九月下旬に家臣へ命じて三本の松を植えさせた。そのとき松の根もとから石棺が現れ、駆けつけた吉明が開かせると、東を頭にした遺骨が世の人と大きく異なる姿で横たわり、太刀と甲冑もそのままだったという。吉明はここが終焉の地である証だと深く感じ入ったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。