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溜池の堤に立ったお糸

所在地福岡県北九州市小倉南区大字呼野(平尾山)
年代伝承(口承)
登場お糸、人柱に立った十六歳の娘
出典日本伝説大系 第13巻

どんな伝承か

小倉南区の呼野に、心根の素直な一人の農夫がいた。子がないのを嘆いて観世音に祈り、授かったのがお糸という娘である。その娘が十六になった年は日照りが続いて大飢饉となり、翌年、村人は平尾山の東のふもとに岩清水の湧く場所があるのを幸いに、堤を築いて溜池を造ろうとした。ところが完成間際の大雨で堤は跡形もなく流された。人柱を立てようという話になっても誰も名乗り出ない中、お糸が、継ぎをあてた湯巻をつけている者を立てればよいと言った。あらためると当のお糸がそれで、村人は惜しみ止めたが娘の決意は堅かった。母はのちに剃髪して娘を弔ったという。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))

『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。

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