眉山を海へ投げ込んだ大蛇
どんな伝承か
昔、島原の山間に一人の猟師が住んでいた。ある女がその妻となり、産をするときは決して見てはいけないと言い置いて産屋に入った。猟師が戸の隙間から覗くと、中では大蛇が苦しげにのたうっていた。正体を見られては長くは居られないといって女は去る。のちに子の持っていた玉を殿様に差し出すことになり、片目の女が現れてもう一方の眼も抜いて与え、また池の中へ姿を消した。三日目、大蛇の満願の日である。大蛇は眉山の一角を巻いて海へ投げ込み、そのために津波が島原の城下を襲って、人も家畜も家もことごとく流されたと伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。