二ッ岳の仙人と三年眠った猟師
どんな伝承か
西臼杵郡高千穂町では、一人の猟師が二ッ岳の山中で道に迷った話を伝える。鶏の鳴く声のする方へ進むと小さな家があり、白髪の老人がいた。道に迷ったと告げると、一休みしていけと茶を出してくれた。疲れと得も言われぬ香りと味に、猟師はうとうとと眠り込んだ。目を覚ますと日が暮れかかっている。老人に道を細かく尋ね、その通りに進んで、すっかり暗くなってから家にたどり着いた。ところが家の者は、猟に出たまま帰らぬ猟師の三年忌まで済ませていた。ひと眠りの間に三年が過ぎていたわけで、二ッ岳の仙人の話として語り継がれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。