赤旗の野原岳と金志川の最期
どんな伝承か
金志川豊見親は友利元島の生まれで、空を飛ぶ術を持ち、首里の王にまで名が知られていた。あるとき仲宗根豊見親から野原岳へ来いと誘いを受ける。道中、網を編んでいた伯父を訪ねると、伯父は手元の短刀を渡し、白旗なら和睦、赤旗なら戦だと教えた。着いてみると旗は赤で、金志川は戦と悟り、親指に短刀を挟んで飛び上がるたび百人、降りるたび百人を斬り伏せた。そこへ仲宗根の愛人でもある守り姉がすがりつき、手を止め心を鎮めよと諫める。その隙に隠れていた仲宗根が躍り出て片腕を斬り落とした。片腕では豊見親たり得ぬとして、金志川は薪を積んで火を放ち、炎へ身を投じる。その折に飛んだ目玉が首里王の盆に落ち、王は死を知ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。