売ろうとすると祟る素盞鳴神社の神木の杉
どんな伝承か
北設楽郡三輪村の長岡にある素盞鳴神社には見上げるような杉の大木があり、神木として注連縄を張って村中で大切にしている。昔ひどい飢饉のとき、境内の立木を売って村の飢えをしのいだことがあったが、その年に悪い流行病で死人が絶えなかった。神木の祟りに違いないと慌てて詫びの祭りをした。何年かのちの飢饉の年にもこの大木を売ろうという話が出たが、前の例があるので村の金持ちが金を出して切り抜けた。またあるとき他村から木を売ってほしいと申し込まれ、取り次ぐと約束した神社の世話人がその夜突然卒倒した。こうしてこの杉はいよいよ恐れられるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。