殺された蛇使いの蛇が山賊を襲う蛇塚
どんな伝承か
旧大滝村の落合の集落から奥へ入った塞野岩という所に、人が立って入れるほどの大きな穴があり、昔そこに山賊が住んでいた。穴の前は塩沢や中津川の集落へ通じる道で、山賊は行き交う旅人を襲っていた。あるとき通りかかった蛇使いを襲って衣服や金を奪い、抵抗したため命まで奪ったが、連れていた蛇はその場に捨て置いた。二、三年のうちに蛇は数百匹に増え、ある晩、穴でまどろむ山賊に一斉に襲いかかった。山賊は血まみれで逃げ回り、正気づいたとき、ちょうど三年前の同じ日に蛇使いを殺したことを思い出した。悔いた山賊は穴の前に塚を築き、手厚く供養したという。
原典より
秩父郡大滝村の落合部落より約四軒ばかり奥にはいった「 」の塞野岩といわれる所に大きな穴があり、そこには昔山賊が住んで居ったといわれております。—— 秩父の伝説と方言 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。