白狼が道案内した八日見山の両神山
どんな伝承か
奥秩父連峰の端にそびえる海抜一七二三メートルの両神山の頂には両神神社があり、三峰と同じくいざなぎ・いざなみの二神を祀る。日本武尊が常陸からの道中、八日間いつも見えていた山なので八日見山と名づけ、登って二神を祀り東国の守りとしたことから、のちに両神山と呼ばれるようになったという。尊が登ったとき濃い雲霧で方角を失うと、山の神が白い狼を遣わして道案内させたとされ、犬引尾根などの地名はこれにちなむという。翌年には景行天皇も登り、その道筋の天理岳は天子ヶ岳とも呼ばれた。江戸時代には三峰と並ぶお犬さま信仰で栄え、表参道には数百の石仏が残る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。