おつるボュンと鳴る入水の渕
どんな伝承か
天正十年頃の話という。部落に舘主がいて、つるこ姫という娘がいた。戦に敗れて両親は殺され、姫は一人取り残されて村民の世話になっていたが、八日目の朝、姿が見えなくなった。姫は阿武隈川に入水し、その場所をつるこ渕と呼ぶようになった。近くには七日渕という所もある。つるこ渕は渦巻きになっていて、渦を巻くときに「ボュン、ボュン」と音がする。村民はこれを「おつるボュン」と聞きなし、その渕へ泳ぎに行く者は必ず水死するといわれている。
原典より
むかし、木村の舘につるこ姫というお姫様がいた。—— 郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年))
『郡山の伝説』は、郡山市教育委員会が大島建彦の監修を受けて昭和六十一年に編んだ伝説集である。昭和五十九年度の「ふるさとの文化財調査事業」で調査員が市内全域から採集した伝説を中心に、郷土誌などで補った話を収め、采女伝説や坂上田村麻呂・源義家・弘法大師にまつわる話が多い。『日本伝説名彙』にならって木・石岩・水・塚・坂峠山・祠堂・家村・祭礼行事の部に分け、各話に伝承地と報告者名を添え、巻頭に監修者の解説を置く。