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弾正野を悠然と歩み去った狼

所在地山形県東置賜郡高畠町大字露藤(二つ塚)
年代江戸後期(約120年前)
登場下館の高橋木捲、村人ども
出典高畠町伝説集

どんな伝承か

今から百二十年ばかり前、露藤のあたりに恐ろしい狼が住んでいたという。堅雪の頃になると餌をあさって人家に近づき、軒に吊るした大根などを取って食べた。人を見れば逃げるが、不意に出会えば噛みつく危険もあったという。下館の高橋木捲の日記には次のように記されている。春の始め、人家の西に当たる二つ塚という塚があり、そのあたりの野を弾正野といった。弾正野で木を伐っていると、二つ塚の方から一匹の狼が駆けてきた。見れば小牛ほどもあり、人を恐れず近づいてくる。皆が得物を手に待ち構えると、狼は少しも騒がず悠然と人々の間を通り抜け、十間ほど行くと一目散に駆け出して見えなくなった。人々はその剛胆さに舌を巻いたという。

原典より

今から百二十年ばかり前のことですが、露藤辺りに恐ろしい狼が住んでいたと云われています。—— 高畠町伝説集(山形県立高畠高等学校文芸班(編)・1957年(昭和32年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

高畠町伝説集(山形県立高畠高等学校文芸班(編)・1957年(昭和32年))

『高畠町伝説集』は、山形県立高畠高等学校文芸班が熊木成夫教諭の指導で編み、昭和三十二年に高畠町伝説集刊行会から発行した伝説集である。高畠町とその周辺に伝わる社寺の縁起、人物、怪異、動物、地名の由来などを、古老からの聞き書きと古記録から採り、内容の多くは郷土研究家安部名平次の蒐集による。神仏・人物・怪異・動物・什物・地物・地名・地誌の八篇に分け、町長の序と校長・安部名平次・武田好吉の文、編者の後記を付す。

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