地獄に堕ちた将門の娘・如蔵尼
どんな伝承か
平将門の第三女は、地蔵菩薩に深く帰依して尼となり、如蔵尼と名乗ったと伝えられる。『元亨釈書』によれば、如蔵尼は美しく、諸方から結婚を求められても許さなかったが、父将門が謀反に敗れて誅されると奥州へ遁れ、身を寄せる所もないまま慧日寺のかたわらに庵を結んで独り暮らしていた。ある日、病を得て息絶えると、たちまち地獄へ堕ちたという。地獄では地蔵菩薩の助けにより蘇生し、菩薩は生前の純心無垢を指摘して閻魔王に女を本土へ帰すよう命じた。以後、如蔵尼は一心に地蔵を持し、八十余歳で端坐して入滅したと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
将門伝説——民衆の心に生きる英雄(梶原正昭・矢代和夫・(平将門伝説の研究書))
梶原正昭・矢代和夫『将門伝説——民衆の心に生きる英雄』を、論考の節単位で全67事例として収録した研究書(地域伝説集ではない)。平安中期の平将門(承平天慶の乱)をめぐる伝説を、英雄の死と伝説の誕生(冥界・調伏・怨霊・首の怪異・七人の影武者・妙見信仰・石化)、落人たちの運命(将軍太郎良門・如蔵尼の堕地獄と救済・滝夜叉姫・桔梗塚の寵妃・後裔と将門遺跡)、将門伝説の展開(馬の文化・関東一円の分布圏・文芸化・首塚の祟りと再評価)として論じる。