将門の孫が住したという小松寺
どんな伝承か
良門の子とされる蔵念について、『今昔物語集』巻十七は、陸奥国の国府の小松寺に住む沙弥であったと記す。地蔵菩薩の命日に生まれて蔵念と名づけられ、地蔵小院と呼ばれるほど篤く地蔵を念じ、七十歳で深山に姿を消したという。著者は、この陸奥国府近くの小松寺を現在の宮城県遠田郡田尻町北小松の附近かとみる。当時もっとも蝦夷地に近接した辺境に将門の子孫が住みついていたこと、親子二代にわたって信仰に生きる道を見出し、人々の尊敬を得てその地方の語り草となったことは稀有なことだと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
将門伝説——民衆の心に生きる英雄(梶原正昭・矢代和夫・1966年(昭和41年))
『将門伝説——民衆の心に生きる英雄』は、梶原正昭と矢代和夫が一九六六年に著した平将門の伝説の研究書である。茨城県岩井町をはじめ各地の伝説地の踏査と、縁起・古記録・地誌をもとに、将門の怨霊と調伏、七人の影武者、子の良門や娘の如蔵尼、寵妃桔梗ら落人の行方、後裔を名告る家々、伝説の伝播と文芸化をたどる。序章と三篇からなり、巻末に青森県から鳥取県までの伝説分布と、寺社縁起など関係文献の抄録を附録として付す。