姥ヶ池の龍王に瘧を祈る
どんな伝承か
浅草の姥ヶ池のほとりには弁天が祀られていた。浅茅ヶ原の一つ家で旅人を殺し続けた老婆は、誤ってわが娘を打ち殺したのちにこの池へ身を沈めて死んだが、その怨霊は大蛇の姿となり、自らが龍王の化身であることを示したと伝えられる。そこで後の世まで、瘧を患った者はこの龍王に願をかけ、竹の筒に甘酒を詰めて木の枝に掛け、それを池の水に浮かべると、願いがかなうと言われていたという。
原典より
其怨靈大蛇となりて、龍王の化身たることを示すと云へり、今に瘧り病の時、此龍王に祈り、竹の筒に甘酒を入れ、木の枝にかけて、池水に浮ぶれに、願成就すとつたふ。—— 江戸傳説(佐藤隆三) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸傳説(佐藤隆三)
『江戸傳説』は、佐藤隆三が著した江戸と東京の伝説集である。将門の首塚、番町皿屋敷、お玉ヶ池、置てけ堀、縁切榎、矢口渡など、市中と近郊の塚・池・坂・井戸・寺社にまつわる由来譚や、化け狐・猫又の怪異を、『江戸名所図会』『将門記』などの記録を引きつつ語る。目次に四十の項を番号順に並べ、口絵の図絵と目次番号に対応した伝説分布図を添え、巻末に資料参考書目を付す。