芋坂の強欲な百姓と飼い猫の報い
どんな伝承か
文政のころ、根岸の芋坂あたりに元右衛門という強欲な百姓がいた。隣村金杉村の伊五平が字を読めないのをよいことに、五両の証文を五十両に書き換えて全財産を奪う。伊五平は長年飼った猫に事の次第を語り聞かせ、金を添えて檀那寺の和尚に託したうえで首を吊った。やがて元右衛門は野良で猫に手を噛まれ、医者からの帰り道に車坂の高巌寺前で狸に化かされて大溝へ落ち、その傷がもとで年の暮れに死ぬ。残された娘のお元も見知らぬ猫につきまとわれ、猫を捨てに出たきり戻らず、五日後、上野の御霊屋裏の竹藪で食い殺された姿で見つかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸傳説(佐藤隆三)
佐藤隆三編『江戸傳説』を全42話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。