小僧に化けた高巌寺の古狸
どんな伝承か
下谷車坂にあった高巌寺には古狸が棲みつき、小僧の姿に化けては人をたぶらかした。近隣の者は高巌寺小僧と呼んで恐れ、寺内に祠を建てて祀ったが、狸を神にするのもおかしいというので小僧稲荷と名づけたという。寺の前は深い大溝で、夜に立小便でもすれば、大きくなったり小さくなったりする三つ目小僧が現れ、宙にぶら下がった大提灯が点いたり消えたりして動き出す。驚いて逃げれば必ず溝へ投げ込まれ、怪我をする者も少なくなかった。それゆえ近所の者は朝一番に門前と境内を掃き清めたと、車坂あたりの古老が語り伝えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸傳説(佐藤隆三)
佐藤隆三編『江戸傳説』を全42話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。