回向院門前の金猫と銀猫
どんな伝承か
およそ百四十年前、回向院の門前に二軒の茶屋が並び、どちらも土で作った大きな招猫を店先に据えていた。東側は金色、西側は銀色に塗り、競い合って客を招いたが、実際は女を置く淫売宿であったという。東側の東屋は主人の弥平が博奕打ちで、女房のお綱は客あしらいのうまい女だった。両国村松町の古着屋の番頭八郎兵衛はお綱に入れあげ、店の大金を使い込んで発覚する。身を投げようと両国橋にもたれていたところへお綱が通りかかり、互いに世を儚んで家へ引き返し情死した。花柳界が招猫を飾る習わしはここから起こったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸傳説(佐藤隆三)
佐藤隆三編『江戸傳説』を全42話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。