黒川の殿墓(平休意一族)
どんな伝承か
門司区黒川本町の暗谷(現黒川一丁目)、貴船神社の近くの竹林の中に、苔むした石造りの墓が十八基ほど並んでいる。地元では「殿墓」と呼び、みだりに触れたりいたずらをしたりすると祟りがあるとされ、八月の盆前には地区の人々が掃除をして大切に守っている。この墓は、当地に住んだ平家の武将、平休意の一族のものと伝えられる。源平合戦のおり、宇佐八幡へ戦勝を祈願した帰り道に、寿永四年(一一八五)壇之浦で一門が滅んだことを知り、この地に隠れ住んで帰農し、八木田を名乗ったという。今も当地には八木田姓が多い。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。