到津の石坊様と五人の姫
どんな伝承か
小倉北区到津の到津遊園の中に、「石坊様」と呼ばれる地蔵尊のような石体がある。この石に腰掛けたり、動かしたり、触ったりすると高熱を出して大病になると言い伝えられる。伝えによれば、戸畑区の菅原神社のあたりには天賀城という城があったが、豊後の大友氏に攻められて天賀一族は討ち死にした。天賀氏の五人の姫は敵の手を逃れ、今の到津遊園の丘まで落ち延びたものの、追っ手が迫ったことを知って自害して果てた。村人たちが姫たちの霊を葬って建てた小さな供養塔が、いつしか石坊様と呼ばれ、せつく(いじる)と祟るといわれるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。