西谷石坂の耳取り
どんな伝承か
小倉南区西谷の石坂と麻生との境に「耳取り」と呼ばれる場所がある。十月上旬、西大野八幡神社の神輿を担いで敷地祓いの一行が合馬の各戸を回る。これを俗にお獅子様というが、文亀二年(一五〇二)、麻生から石坂へ向かう途中でこの場所に休んでいたところ、怪獣が現れてお獅子様の両耳をもぎ取ってしまった。それ以来お獅子様はここを通らなくなり、石坂集落のお祓いも長らく途絶えた。道原でも、鍋をかぶった異形の者が西大野八幡神社のお獅子様を追い払ったことがあり、その場所を「鍋被り」と呼んでいる(水源地の下あたり)。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。