田代稗田神社の権現祭と塞峠の三つの月
どんな伝承か
北九州市八幡東区田代では、庚申祭のほかに天神様お籠り、権現様、山の神祭り、恵比須祭りが行われている。権現様すなわち稗田神社の祭りは、八月一日に筑前側の一組で、八月二十六日に豊前側の二組で行われる。昔は旧暦七月二十六日の夜に営まれ、この夜、塞峠から見ると曽根の海から上る月が三つに見えたという。彦山や西谷豊前坊の山伏が法螺貝を吹きながら参り、大人の奉納相撲も盛んで、筑前と豊前の対抗戦もあって小倉や直方の方面からも見物人が来た。今では二十六日の昼に各戸がご馳走を重箱に詰めて参り、一部を供えて社前で食べる。子供相撲も奉納されていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。